シャッタースピードテスターの利用方法

Shutter speed tester

シャッタースピードテスターの利用方法

最初に

フィルムカメラ用のシャッターテスターの利用法や注意点などを箇条書きします。

このページはルーマニアのvfmoto製の製品「shutter speed tester」についての言及です。すでに利用している方向けの情報です。製品概要についてはこちら(製品概要)を参照ください。

本製品はテスターという名の通りある程度の上級技術者の知識と創意工夫が必要とされる製品です。もっと気軽に計測したい場合はスマホ用のアプリのご利用をお勧めします。

センサーの向きとマーキング

ボックス型のセンサーには正面に5個のセンサーと1個のLED照明と固定用のネジ穴があり、側面には計測センサー切り替えのトグルスイッチがありますが、目印や文言などの記載は一切ありません。使ってみればわかるのでしょうが・・・

このセンサーに必要な情報は次の通りです。

  1. 速度のみ計測時のセンサー
  2. 設置する方向
  3. センサーとトグルスイッチの関係
  4. センサーの位置
  5. 照明とセンサーの指向性について
Shutter Speed Tester

センサーの向きとマーキングと、トグルスイッチとセンサーの位置、マーキング例

  1. 速度のみの計測時には正面中央のセンサーのみを利用します
  2. 幕速の計測時に必要な情報です。レリーズ時にシャッター幕の移動する方向を上図にて記載しました。
  3. トグルスイッチとセンサーの関係を上図に記載しました。速度のみの時はどこでも動作します。幕速計測時には設定が正しくないと計測しません
  4. センサーの位置は正面、長方形のど真ん中ではありません。また幕速計測のセンサーもボックスのぎりぎり外側というわけでもありません。中心点やセンサーの位置などのマーキングが外枠に必要です。
    また光が正しくセンサーに照射されるかの確認時などにセンサーの位置が分かりやすいようにセンサーの周りにマーキングをしておくと利便性が上がります。
  5. バルナックライカ計測時に発行するライトとセンサーが干渉するのではと思い悩んでしまったり、また(手軽にという意味では指向性は緩いほうが楽ですが)精度を上げようと思ったらより指向性を持たせるなどの工夫が必要です。筒や遮蔽版のようなものを張り付けたりするとよいでしょう。

 

光源について

専用のLEDライトは光量の調整ができます。
本テスターに限らずですが、光量についても許容範囲があり最適値があります。
重要なのは誤作動というか誤反応は避けた方が良いと言うことです。
そのためテスターが反応する、ギリギリ低めの光量が最適値となります。
合わせて反射・副射は少ない方がよさそうです。

そのうえでの提案ですが、附属のLED以外の光源の使用や製品が推奨している以外の方法も試してみてはどうでしょうか?

製品附属のマニュアルでは以下のような取付方法が紹介されています。

シャッタースピードセンサーの光源

適当な板に穴を開けセンサーを取り付けた、輪ゴムで固定する例

シャッタースピードセンサーの光源

ボディキャップに穴をあけてセンサーを取り付けた例

 

シャッタースピードセンサーの光源

レンズシャッターのhasselbladの計測方法:レンズの前後キャップにセンサーを取りつける例

カメラ本体に直接光源やセンサーを取り付けない例

特にhasselbladの場合シャッター膜に近いとトラブルの元なので遠ざけるほうが安心です。
下図のように明るい部屋でも問題なく計測出来ます。

シャッタースピードセンサーのセンサー

ブックスタンドにセンサーを貼り付けた例:センサーに磁石を接着して移動できるようにしています。

シャッタースピードセンサーの光源とセンサー

このように遠くても問題なく計測できます。複数のカメラで計測する時に便利です。

光源およびセンサーの位置調整

 

シャッタースピードテスター

センサーとライトの位置の確認

レンズシャッターの計測もできます。
注意点はレンズにキズを付けないようにということです。

バルナックライカタイプの計測時のセンサー

マニュアルで以下のようなアダプターの作成例が紹介されてます。

シャッタースピードテスター バルナックタイプカメラの計測用センサー

バルナックタイプカメラの計測用センサーの作成例:L39のボディキャップに穴あけしてねじ止めしています。

センサーはL39のネジ穴よりも大きいのでアダプターなしで輪ゴムやガムテープで仮固定しても計測できます。

 

シャッタースピードテスター 計測例

L39のアダプターがあれば42-39のステップダウンリングを装着するとM42のボディにも装着できます。

シャッタースピードテスター 計測例

付属のスマホアプリ用のセンサーの計測例。レンズフィルターに装着できる自作アダプターを使用

レンズシャッターの幕速

フォーカルプレーンシャッターに対して幕速という概念(事実)があるのに対してレンズシャッターにも幕速ならぬ羽根速というものが存在します。
加えてシャッター羽根と絞り羽根は兼用のものと、独立しているものとあります。
それぞれの構造上の違いから絞りの値によって露光量が変わってきます。
それはシャッター羽根の動作が遅いほど顕著になります。
これらの検査は露光量のチェッカーがあれば一番ですが本テスターでも傾向は把握出来ます。
まずは計測する(スピードと)絞り値において、中心点と一番外側(あるいは光の当たる一番外側)のそれぞれでレリーズ時間(量)をチェックします。
その差が無視できないほど大きいものでしたら、対象のシャッターの傾向と対策を検討することができます。

 

 

電子式シャッターの計測例

電子式シャッターのスピードや幕速の啓作に意味があるかは同課はともかくですが、測定できるという例を。

下図はNIKON F-801のフィルム室の様子です。

このカメラに限らずですが、電子式のカメラはフィルムのローディングやフィルムのASA感度の特定などが自動になっていたしします。

当然、不適切な操作をブロックしてくれる機能が完備されています。フィルムを装填し裏蓋を閉めないとレリーズできません。

で、面倒な部類のF-801の場合の回答です。

  1. 計測できる準備をしておく
    光源とセンサーを準備しておきます
  2. いらないフィルムを用意する
  3. フィルムを装填し撮影可能な状態にする。
    フィルムを装填し、裏蓋を閉めると、自動でローディングが始まり、撮影可能な状態になります。
    念のためレリーズしてみます。
    レンズを装着しないと動作しなかったりします。
  4. マニュアルで目的のスピードに合わせます
    念のためレリーズしてみます。設定次第ではマニュアルでスピード設定してもレリーズしてみると1/60の時があります。
  5. 裏蓋をあけて府ローディングされたフィルムを手で引っ張って外します。
  6. フィルムケースを裏蓋を閉めた時と同じような感じに抑え込みます。
  7. 裏蓋が閉チェックのスイッチを押し込みます
  8. 計測します。
    6と7が正しくできているとレリーズできます。(1回しかレリーズできないかもしれません)
  9. レリーズできなかったら3に戻って同じことをくりかえします

以上です。
結構面倒ですが計測できます。
機種により別の手順が必要だったり、もっと簡単だったりします。

出来るだけ簡単に計測する

シャッタースピードと絞りの組み合わせのいい加減さからわかるように、計測自体も厳密な制度は求められていなかったりします。
自身で満足できる程度に比較分類できれば十分であると言えます。なので、なるべくお金や時間などのリソースをかけ過ぎないことが得策です。

  • 照明は室内光でも外光でも手持ちの懐中電灯などの照明で実用できるかもしれません。
  • 被写体にくっつける必要もなく、完全に遮光する必要もないかもしれません。
  • 本テスターよりスマホ用アプリ+光センサーのほうが手軽です。
    ほとんどの場合これで十分だったりします
  • スマホアプリの内蔵マイクによる音声センサーはフィルム装着したまま、実際の撮影時のレリーズタイムを知ることが出来ます。

 

 

普通のカメラの計測が出来れば十分な方向けのテスター

 

 

Phochron XA Film Camera Shutter speed and Curtain speed tester with light source

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